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2012年3月4日 - 2012年3月10日

2012年3月 6日 (火)

今日は絵を描いていた

先々週末からのカゼが長引いている。鼻水鼻づまり寒気といった組み合わせの軽い症状
で、医師処方の薬を飲んできたが一昨昨日に使い切った。回復が遅いのは歳のせい
か・・・それでも今日は大分、いい。今日はおとなしく家で絵を描いていた。

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湿気の多い日は雛飾りをしまうには向かないとのカミさんの詔で、まだ、残っている雛人形
を描いてみた。

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2012年3月 4日 (日)

柄本明の「風のセールスマン」をみた

演劇を生まで見るのは何十年ぶりだろうか。柄本明の一人芝居(原作:別役実)があるとい
うので、にかほ市の勤労青少年ホームに出かた。

雨でもないのに傘をさしてバス停までやってきた一人のセールスマン。自分でも紛い物だ
と思っている防臭・防寒機能付きの靴中敷きを売りに歩くのが商売だ。スーツケースをベン
チに置いて客席に向かって語り始める。

自分が特別なこともないのに、周囲から異質なものを見るような眼で視られていること。世
界に馴染んで、みんなと同じように暮らそうと努力するがうまくいっていないことが語られ
る。

語りながら、傍らの電柱に結んだチェーンの先を自分の首に(犬の首輪のように)ひっかけ
て鍵をかけ、キーを遠くに投げ捨てたり、失禁してズボンとパンツを紐にかけて乾かした
り、段ボールに入ったり出たりする。巨大な眼球がステージ上(宙に)に降りてくる。彼は電
柱に登って遠くを眺めては、降りてきて、箱に入ったり、眼球に怒ったりする・・・。

これらの行動の奇妙さは、自分の理屈や成り行きにとっては自然なものだが、人に説明し
ようとすると理解されず、断絶を知るだけになることも分かっている。

セールスマン夫婦には子供がいない。子供がいれば、その子を通じて地域に融け込んで
平穏に過ごせるはずだと彼は考えるが、それができない。ある日、妻が妹の子を預かっ
て、交通事故で死なせてしまう。自分の子ならまだしも、妹の子を死なせたことがショック
で、妻はナイフで自ら命を絶つ。帰宅して妻の変わり果てた姿をみた彼は、血のついたナ
イフに自分の指紋を付けて、それからここまで来たというのだった。

自分が妻を殺害して逃亡したとして警察に捕らえられれば、初めて自分を説明できる、自
分が何者でなぜここにいるのか理解してもらえると、告白する。しかし、妻が死んだ日に彼
が帰宅しなかったことを誰かが証言していたため、警察に追われているというのは彼の思
い過ごしであり、警察に事情を説明する機会を得ることもなかった。

数日後、セールスマンは同じ場所に再びやってきて言う。自分は靴の防臭・防寒機能付き
中敷きを売るのをやめた。何を売るのか、「自分だ」と言って、舞台は終わる。

数々の謎。
あの巨大な眼球は何か・・・大多数の人の了解事項だと各自が勝手に思っている(幻想と
しての)約束事、その上に成り立っている日常世界・・・の象徴か?
首にかけたチェーンは何か・・・日常において自分で自分を縛っていることの暗示か? 思
いもかけず簡単に首輪が外れた時に、客席でそれを見ている自分は確かに解放感を感じ
ていた。
段ボール箱は何か・・・
傘は何だったか・・・。
自分を説明するとは何か・・・
と思いだしていけば、この芝居は謎に満ちていて、謎を見せ、感じさせ、考えさせるため
に、独白によるストーリーが作られている感じさえする。
最後の「何を売るのか? 自分だ」という言葉は、アイデンティティを主人公が獲得したこと
を示しているのかもしれない。

劇中に散らばっているさまざまな解けない謎をいろいろ考える、それが演劇の楽しみ方だ
といえるかもしれない。

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