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2013年10月20日 - 2013年10月26日

2013年10月25日 (金)

ヘッセの「クヌルプ」から

 臨川書店ヘルマン・ヘッセ全集第8巻に収められている。
 「神様は言った。・・・私の名においておまえはさすらいの人生を送った。そし
て定住者として生きる人々のところに自由へのちょっとした郷愁を繰り返しもっ
ていかなければならなかった。・・・」

 昔、もともともっていた自由・・・への思い、ないことの愁い?

 地元では「定住者」であり、ここにいたのでは感じられないもの。キョウシュー
というからには、遠くにあって簡単には得られないものだからこそ感じる「愁い」。

 しかし、手に入れてしまえば消え去ってしまうような憧憬、郷愁。

 そういえば、このたび行ってきた山にも空にも千曲川にも、草原にも、自由
への郷愁といえそうなものを、旅から戻ってきて、感じる。それは、行く前にも
感じていたもの。

 クヌルプヒュッテは「定住者」に対して「自由へのちょっとした郷愁」を提供し
ようとして始められた・・・のかも。

2013年10月20日 (日)

霧ヶ峰クヌルプヒュッテで

■クヌルプヒュッテ

 蓼科山、北横岳から下山して霧ヶ峰に向かった。ビーナスラインを走り、沢渡
(さわたり)というところにクヌルプヒュッテへの進入路があった。林の中の一軒
家。前庭に車の姿がなければ童話に出てくる木舎という感じだ。車から出た私
を、テラスに立って名を確認したのがここのご主人だ。80歳代だろうか。

 インターネットである利用者のブログをみると、このヒュッテは1957年に開
かれたとあったから56年前だということになる。一階が皆が集まるところ、二
階が宿泊者の寝室になっている。

 一階はダイニングと談話室が一体となっていて、広さ5,6坪といったところ。
使い古されたような大きいランプが6個天井から吊るされていた。その横には
旧式の山スキーが下がっている。板は厚く長い。ストックも大きく、存在感があ
る。食卓に置かれた鍋敷きに使われていたのは、ストックの輪っかだった。洒
落ている。竹の輪に皮のベルトがついている。

 書架に並んでいるのはご主人の蔵書だろう。山の本、動植物の本、それに
ヘッセの全集もあった。そこに「クヌルプ」という文字を見つけた。この宿を予
約するときにクヌルプをアイヌ語だと思っていたが、実はヘッセの小説の題名
であり、主人公の名前だった。ヘッセの文学はご主人が若いころ感銘を受け、
人生の糧としてきたのだろうか。

 霧ヶ峰の近くに宿をとるなら、この春に故人となった手塚宗求さんが開いた
コロボックルヒュッテだと決めていた。ところが、予約の電話を入れると、満室
だという。なるほど連休の中日であれば仕方がないと諦めたのだった。その
手塚さんについては著書から、山小屋を開く苦労をうかがい知ることができた。

 このクヌルプヒュッテにしても、そこには主人の志向やこだわり、人生哲学や
それに応じた様々な労苦があったのだろう。そうした年月が、建物や調度品、
道具などに刻まれていることだろう。その物語を聞いてみたい気もしたが、そ
うした求めはここに何度か足を運んで親しくなってからできるものだろう。ただ、
ヒュッテの名の由来としたヘッセの小説を、秋田に帰ったら読んでみたいと思
った。

 食事は素晴らしい。厚いハンバーグがおいしい。奥さんや息子さんが作って
いるようだ。朝食はパンだった。シチューがついて、手製のジャムやヨーグルト
も出た。これもおいしかった。

 テーブルには埼玉から来たという四人家族と名古屋から来た夫婦連れ。私
が秋田から来たというと、皆びっくり。(なぜ?) 遠くからよく来たという感じ。
この人たちにとって秋田はまさに遠いのだった。そして、びっくりしたのは四人
家族の奥さんの方だったようで、秋田・飯島に実家がある人。まさか信州の山
の中で見知らぬ秋田人が同宿するとは思わなかったようで、それはこちらも
同じだ。旦那さんは十歳のころから母親に連れてこられて、以来このヒュッテ
には何度も泊まっているという。ご夫婦連れの方は名古屋の人たち。ここは
八度目だという。皆常連さんだった。自分のような初顔は珍しいのかもしれ
ない。

 一人であり、疲れもあったので食事後早々に布団に入った。

■車山に登る

 車山(標高1,925m)へは、車山高原スキー場の駐車場から登った。売店
やリフト乗り場もあって、昨日は多くの観光客でにぎわっていたが、今日は冷
気が強く、駐車場の車もまばらだ。売店裏から登山道がついている。時折日
も差してくる。ゆっくり1時間半かけて山頂着。風が強くタオルを首に巻く。

 徒歩で登るのはごく少数で、大半はリフトで来ている。寒いので早々に引き
返すことにして、下りはリフトに乗った。

 クヌルプヒュッテの主人から、帰りは松本から高速に乗ることを勧められた
のでそれに従い、ビーナスラインからアザレアラインを通り、松本市内に入っ
た。

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