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2014年6月1日 - 2014年6月7日

2014年6月 7日 (土)

中岳にて

 昨日、梅雨入りしたというが、雨が来ない。明けると今日も晴れている。予報
では午後一時(いっとき)晴れるというので、登山用具一式車に積んで木曽石
へ向かった。

 登山口の木橋を渡ると間もなく、外人が下りてきて流暢におはようございま
すといってすれ違った。この山で外人さんと遭遇したのは初めて。すぐ後から
若い女性も来た。同行者のように見えた。どこかの大学の教授とか教え子と
かだろうか。丸木橋を渡ってからの急登を行く。風が木々を揺すっている。
女人堂を経て中岳へ行くつもり。山頂は強風だろうか。

 先週登った太平山ではヒメシャガがかなり賑やかに、登山者の足元を飾っ
ていたが、今日はなかなか現れない。やがて、路傍にショボッとした姿があっ
た。ヒメシャガ、ヒメショボってか。もう花期は終わったのかもしれない。ただ、
上ではどうか、期待していよう。高度を上げると、ブナの木々の間を心地よい
風が吹き抜けてくる。これだけでも来たかいがあった。

 やがて、風だけではない、人の声のような音がするのに気づいた。話し声
のようにも、歌声のようにも聞こえる。登るにつれてそれが誰かが唄う民謡
のように聞こえてきた。

 女人堂跡に到着。唄声のする方に回ってゆくと、男性が一人、仁別の森
の方に向かって唄っているのだった。朗々とした声は見事なものだった。さ
ぞ気持ちのよいことだろうと思った。こんな喉の、豊かな声量の人にはどこ
かかなわないような気がする。

 声の正体がわかったので、鳥居の前に戻って秋田市街を遠望した。数年
前、花見時に登った時には、一か所だけぼうっと淡く白い地域が見えて、そ
れが千秋公園だと知り、何か貴重なものを見たように思ったことがあった。
その千秋公園を、全体霞んだ市街地の方へ延びる指のような幾つかの薄
緑の丘とも山といえる中から探そうとしても、それと定めること覚束なかった。

 中岳へ向かう。路は明るく、上には青空がのぞいて見えた。山笑うという。
若葉色はこれから徐々に深い緑になって山に広がってゆく。「ブナの森を楽
しむ」(西口親雄 岩波新書)に、多くの蛾の幼虫のエサは、まだやわらかく
みずみずしい季節の木の葉だ。木の葉は成熟するとセルロースの含量が
増えてくるからだ書いていた。

 とすると・・・若葉は、まだセルロースを含まない分、薄く、やわらかで日光
が透過しやすいので明るく見えるのではないか、それが、セルロースを含む
ようになって、固く厚みもできてくると、葉の緑も濃くなり、こころもち山の色
を変えてゆくのではないか・・・ま、勝手な解釈だけどね。

 三角井戸の水のたまりにポトポトと滴が落ちていたので、のどを潤す。や
がて最後の登りの岩場を過ぎると山頂はすぐだ。間もなく、山頂広場の陽
だまりの中に飛び出すと、右手のベンチに男性がひとり腰を下ろしていた。
その向こうの遠い空に、今日は鳥海山を確かめることはできなかった。

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