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2014年6月22日 - 2014年6月28日

2014年6月27日 (金)

静岡の人と中岳に登った

 そこがいつもの山だとはいっても、行く度に何かしらちょっとした出来事やひと
との出会いがあるもので、今日は静岡の人と山に登ることになった。

 早めに中岳に着きたいと思い、太平山スキー場オーパスの上のリフト降り場
が前岳、中岳の登山口になっているので、そこから登ることにした。着くと、登
山口付近に停めていた軽自動車から出てきた年配の男女二人から、中岳に行
くのなら連れていってほしいと頼まれた。

 身支度を済ませた彼をみて驚いた。登山する姿ではない。ザックはなく、ウェ
ストポーチに運動靴という軽装なので、これでは行けないと言おうとすると、私
の表情で察したのか、私等は静岡から来た、こう見えても自分は日本百名山を
五年で完登、今は二百名山に挑戦している、二時間ほどの山ならいつもこの格
好で登っているから大丈夫、という。私もこの山には何度も来ていて迷う心配の
ない道でもあったので、自分は残るという奥さんを残して、二人で登ることにな
った。

 それにしてもよくこの林道のことを知って、来る気になりましたね、というと温
泉施設ザ・ブーンの従業員から教えてもらったという。そして、道々彼が語った
ことは、おおよそ次のようだった。

 自分は78歳、先日、新潟でマラソン大会があった。近くこちらでマラソン大会
があるのでやってきた。昨日は秋田市内にいるマラソン仲間のところに泊めて
もらった。中岳のこと、ザ・ブーンのことはその人に聞いた。

 妻は一緒に登ることもあれば残ることもある。北海道の山では私が仲間と登
っている間、妻は、ヒグマの心配もあるなか気丈にも自分たちが戻るまで一人
で車に残っていた。

 マラソンで走ったりするのは高校時代陸上部だった経験もあったから。(そう
いえば、今、彼の履いている靴はカラフルなマラソンシューズだ。)

 ウェストポーチにはペットボトル入りのお茶とあめ玉数個が入っているだけ!
この歳になるとザックをしょって登る方がかえって疲れが来る、という。それは
同じことを私も時に感じている。想定したリスクに備えて重いザックをしょって
疲れて登るのがいいか、ザックもしょわずに軽快に登るのがいいか。しかし、
いつも救急用品や雨具などを入れて重い思いをして登っている。こっちの方
がリスクは少ないと思う。

 この山で初めてギンリョウソウを見つけたので、これは葉緑素をもたないの
で白いまま育つとか、クロモジは・・・などと別に知ったかぶりをするつもりでは
なく、たまたま目につき、知ってもいたので話のつなぎに触れただけだったが、
そんな話をすると、自分はただ百名山だ、二百名山だとひたすら頂上を目指
すばかりで、高山植物や山野草のことを知らずにきた。山の植物などを知っ
ているということはいいもんですなあ、といっていた。謙虚で鷹揚な人のようだ
った。

 中岳山頂に着いたが、食糧のない人の前で自分だけ食べるわけにはいかな
いので、予備のオニギリを差し出すと、恐縮しながらも受け取ってくれた。それ
で私もゆっくりお昼にすることができた。

 下山の方がやはりいい、という彼の幾分軽くなった足音を背後に聞きながら、
この人たちは、マラソン大会のある地方に行って、マラソン仲間、登山仲間の
ところに泊まりながら、旅をしている。どこか、松尾芭蕉の俳諧の旅に似てい
なくもない、などと思った。このような老後の生き方もある、奥さんと二人三脚
の車の旅で日を重ねる人生もあるんだなあ、と。でも休息はいつとっているの
だろう? 私にはできないことをしている人たちだった。

2014年6月24日 (火)

馬場の小路に鳩が飛ぶ

 国見温泉から秋田駒に向かった。6年ぶりだ。8時過ぎに駐車場に着くと、駐
車場は満杯らしく、あきらめた1台が出てきたが、トイレ前に隙間を見つけて駐
車できた。こんなに混んでいることは以前はなかったが、やはり登山者が増え
てきたということだろうか。

 木道や階段をこなし、快調に登る。森林限界から灌木帯へ。横長根分岐付
近にはタケノコ取りが数人いた。やがて、灌木帯も抜けて風吹き渡る尾根に
出る。左方には女岳や男岳が見えてくる。草が後退した砂礫の上にザックを
置いてスケッチブックを取り出す。男岳の岩峰、女岳の緩やかな斜面、横岳
から下ってくる斜面は砂礫の黒を塗る。左手前には指導標がある。この風景
は、以前から描きたかった。まだ先があるので、仕上げは帰宅後に回して、再
び歩く。同行の甥に聞くとスケッチタイム25分だったという。

 私は甥にコースタイムの記録をとるよう前から話していて、彼は同行の度に
メモ帳に記録しているのだ。連れてきてもらっている彼にとっては、各ポイント
の通過時刻の記録は仕事と思っているらしい。そして、私がスケッチする間、
彼は山の光や風や緑を感じてくれていればいい。

 馬場の小路経由で、先日、山開きの日に滑落事故のあった男岳への十字路
鞍部への登りを行くことにした。雪は馬場の小路に残っていたが、急登コース
上にはもう全く残っていなかった。鞍部への登りの途中、ふと振り返って目を疑
った。馬場の小路に、残雪が鳥を象っていたのだ。タバコのピースマークそっく
りだから鳩だといってもいい。初めて見る雪形だったが、この時期に来る人には
見慣れた光景なのかもしれない。秋田駒の名の由来である馬の雪形を私は見
たことがないが、鳩を見るとは、何か貴重なものを見たような気がする。

Memo0099_2


 こんなに明瞭に見えているが、新聞などで紹介されていただろうか、見たこと
がないぞ。

 男岳到着後は昼食をとってすぐ馬場の小路から小岳、大焼砂、さらに遠方の
早池峰方面に向かってスケッチ。左方の馬の背から馬場の小路に向かって
下る草つきの急斜面は大胆に、勢いで筆を走らせたい。それにしても砂礫の斜
面を混色で黒く一面を塗るのはうまくいかない。筆に含ませた水の量の加減か
なあ、どうも、いやなムラやにじみ、筆跡が残ってしまう。

 スケッチは、写真を見て描く人もいると聞いたことがある。私はやはりそこに
来て描かないと気が済まない。下絵を描き、強調したい部分を一応抑え、大体
の色を塗るだけ塗らないと、スケッチした気にならない。仕上げは帰宅後にや
るので、それも楽しみになる。言ってる割に出来具合はそれなりにしかならない
ので仕方がないが、まだまだ描きたい山があるし、そのために登りたい山があ
る。

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