« スクラップ | トップページ | 岩手山は花の山だった »

2016年4月15日 (金)

「ブルックリン・フォリーズ」を読む

 ポール・オースターの小説。アメリカニューヨーク市の中のブルッ
クリンで語られるフォリーズ(愚行)の数々。
 
 語り手であるネーサン・グラス(主人公。59歳か)は、離婚後「静
かに死ねる場所を探して」ブルックリンに来たはずなのに、自分の
甥(トム・ウッド)や甥の上司(ハリス)と付き合ううちに、「静か」どこ
ろでなくなる。ハリーを中心に男たち(仲にはゲイもいる)が繰り広
げる贋作絵画に関するアブナイ話が一つの流れ。

 主人公と甥トムの関係から始まる親族一人一人の風の便りに聞
こえてくる暮らしぶり(あるいは変転)と、やがてストーリーの後半に
なって、彼らの親戚や町とか旅先で知り合った人間たちが絡みあっ
てくると、もう一つの流れをつくって渦のように盛り上がってくる。

 この親戚たちの続柄や知り合いたちの関係を理解するには、図
を作らねばならなかった。ネーサンは、トムをたった一人で訪ねて
きた9歳の姪と三人で旅を始めるが、この姪の小憎らしさが出色。

 ブルックリンで孤独な暮らしを始めたネーサンだったが、物語の
終末では、無名の「忘れられた人々」の物語を出版する会社を立
ち上げるという構想に張り切るところで小説は終わる。

 ポール・オースターは別の小説に自然のなかで思考を深めたソ
ローの名前を出していたが、この小説ではソローの解説をしてい
るのが面白い。また、カフカのエピソードも忘れがたい。

« スクラップ | トップページ | 岩手山は花の山だった »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1637661/64991609

この記事へのトラックバック一覧です: 「ブルックリン・フォリーズ」を読む:

« スクラップ | トップページ | 岩手山は花の山だった »